You are here

審查指南第三回改正案紹介

現行の《専利審査指南》は2010年2月1日より施行されて以来、すでに2013年1と2014年2の2回にわたって実質的な内容の調整が行われた。 現在、国家知識産権局(SIPO)は新たな改正を検討しており、2016年10月27日に意見募集稿を公表した。改正案には、ビジネスモデルとコンピュータプログラムに係わる権利付与の主題についての審査、出願日以降に提出される試験データ(実験データ)についての審査、および無効審判手続きにおける補正方式の調整など重要な内容が含まれる。パブリックコメントの締め切り日は2016年11月27日である。

《専利審査指南》第二部分第一章の改正案ビジネスモデルに関する権利付与の主題について

近年、インターネット技術を代表とするコンピュータ技術の発展は各分野におけるビジネスモデルの革新を効果的に推進してきた。コンピュータ技術とリンクした新しいビジネスモデル(例えばインターネット技術とリンクした新しいビジネスモデル)のイノベーション成果に対する専利保護について、イノベーション主体のニーズに応え、このようなビジネスモデルの革新を奨励するため、《専利審査指南》改正案では「ビジネスモデルに係わる請求項について、若しビジネスルールと方法の内容を含むとともに、技術的特徴も含むものであれば、専利法第25条に基づいて、その専利権を取得する可能性を排除してはならない」ことを明確にした。従って《専利審査指南》改正案には、一つの発明案は技術的特徴さえ含めば、単にビジネスモデルに係わるというだけで専利保護の客体から排除してはならないことを明確にする狙いがある。

これにより、《専利審査指南》改正案から、専利保護しない従来の一例(即ち例9)が削除された。この例はコンピュータープログラムを利用して外国語の勉強を支援するシステムに係わるものである。この専利保護しない客体の例が削除されることは、今後、専利保護客体に対する審査が従来のような硬直化したものではなくなり、ビジネス方法全体における技術特徴の役割が総合的に判断されることを表している。

ビジネスモデルまたはビジネス方法に係わる専利出願について、明細書作成や審査意見通知書(OA)応答の際、技術特徴、当該技術特徴が技術案において解決する技術課題及びこの技術課題を解決する際に当該技術特徴が果たす役割をなるべく強調することを提案したい。

《専利審査指南》第二部分第九章の改正案コンピュータプログラムに関する権利付与の主題について

これまでの審査実務によると、コンピュータプログラム及びその特徴がただコンピュータプログラムのみにある媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)は、専利権を付与する客体に属しない。今回の《専利審査指南》改正案は、専利保護客体に属しないコンピュータ読み取り可能な記録媒体は「記録されたプログラムそのものだけにより限定されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体」と強調しているが、「そのもの」という文言には、コーディングされたコマンドシーケンスと全部あるいは部分的なプログラムの処理に基づく解決案とを区分する狙いがある。言い換えれば、もしコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録されたコンピュータプログラムが技術課題を解決する技術案を反映したものであるならば、このコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は専利権を付与する客体に属す。

なお、《専利審査指南》改正案は、コンピュータプログラムに係わる発明が装置請求項の形で記載された場合、当該装置の構成部は「ハードウェアを含んでもよいし、プログラムを含んでもよい」と規定し、また「機能モジュール」を「プログラムモジュール」に修正して、モジュールの技術属性をよりよく表現している。よって、《専利審査指南》改正案に基づくと、コンピュータプログラムに係わる請求項は「モジュール+機能」の形式に限らず、例えば「プロセッサ+コンピュータプログラムコマンドが記憶されるメモリ装置」のような他の記載形式でも認められることになる。

従来の審査実務に比べると、今回の《専利審査指南》改正案はコンピュータプログラムに係わる発明について保護客体と記載形式がアメリカの関連規定に一歩近づいており、重大な意味を持っている。

上記のことに鑑み、コンピュータプログラムに係わる発明について、必要に応じて複数の主題と記載形式の請求項を作成することを提案したい。たとえば請求項の主題と記載形式には、各ステップを含む方法、各ステップを実行するためのコンピュータプログラムコマンドが記録されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、各方法ステップを実行するモジュールを含む装置、及び少なくともプロセッサと、プロセッサでの実行時に各方法ステップが実行できるコンピュータプログラムコマンドが記録されるメモリ装置を含む装置、が含まれてもよい。

《専利審査指南》第二部分第十章の改正案出願日以降に補足的に提出された試験データについて

出願日以降に補足的に提出された試験データを如何に取り扱うかは、これまでずっと化学分野における審査を困惑させる難題でもある。尤も、従来の《専利審査指南》第二部分第十章には「出願日以降に補足的に提出された実施例と試験データ」は十分な開示を判断する際に「考慮しない」と明確に規定している。上記表現が一定程度誤解を招き、まるで審査官が補足的に提出された試験データを読むことも審査することもしないと誤解されていることを、国家知識産権局は認識している。

審査基準を明確にするため、改正案は上記表現を「審査官は、出願日以降に補足的に提出された試験データを審査しなければならない」と書き換えた。

一方、改正案は依然として十分な開示に関する判断の原則を堅持している。すなわち、明細書で十分に開示したかどうかは、原明細書と権利要求書の記載内容に準ずる。この原則は先願主義の表れでもあり、即ち十分な開示を含む全ての審査は、原明細書と権利要求書の内容に基づかなければならない。

この判断の原則を反映させるため、出願日以降に補足的に提出された試験データに対して、改正案は「補足的に提出された試験データで証明する技術効果は、当業者が専利出願の公開の内容から得られるものでなければならない」と規定した。上記表現は、判断の主体が当業者で、判断の根拠は原出願にて公開された内容で、判断の対象は補足的に提出された試験データを以って主張した技術効果であって、データ自身ではないことを強調しており、機械的または硬直化した判断方法を避けようとしている。つまり、審査官(審判官)は、試験データや試験方法が一致するか否かのような形式的問題に過度に関心を払うのではなく、当業者の立場から技術的効果が一致するか否かを判断すべきとしている。

《専利審査指南》第四部分の改正案-無効審判手続きにおける新しい訂正方式について

無効審判手続きについて、今回の改正は二点に触れている。つまり、訂正方式の規制緩和と無効理由の追加である。

これまで、《専利審査指南》に基づくと、無効審判手続きにおいて、認められる訂正方式は通常、請求項の削除、併合と技術案の削除のみに限られている。改正案は、請求項併合という方式を「請求項に対する更なる限定」に替えるとともに、明らかなミスの訂正という方式を新たに追加した。

ここでの「請求項に対する更なる限定」は、請求項においてその他請求項に記載された一つまたは複数の技術特徴を補足記入することに限られ、明細書に記載された内容に基づいて請求項を訂正することが依然として認められていない。SIPOは専利権者の権益を保護することと公衆の信頼利益を損なわないこととの間に合理的なバランスを求めていることが明白である。

明らかなミスの訂正について、現行専利法実施細則に制限されるため、改正案は明細書における明らかなミスに対する専利権者の訂正を認めていない。このような場合、専利権者は権利要求書における明らかなミスを訂正することができるが、当該訂正が審査(審判)部門に認可された後、専利復審委員会は実施細則第58条に基づいて明細書に対して相応の訂正を行うことができる。

専利権者が削除以外の方式で請求項を訂正したことに対して、無効請求人は指定期間内に訂正内容について無効理由を追加することができる。ここでの「削除以外の方式」は「請求項に対する更なる限定」と「明らかなミス」の両方を含む。

これまでの審査指南では、専利権者が併合方式の訂正をした後、無効請求人は指定期間内に無効理由を追加することができるが、ここに一つの誤解があった。つまり一旦専利権者が併合方式の訂正をすると、請求人は無効理由を全面的に補足してもよいと捉えられた。今回の改正によって、専利権者が削除以外の方式で訂正した後、無効請求人はただ訂正内容に対してしか無効理由を追加することができないことが明確になった。これは、従来の審査基準と一致している。

なお、従来の審査指南によれば、専利権者が併合方式の訂正をし、または反証を提出した後、無効請求人は指定期間内に証拠を補足することができる。今回の改正は併合方式の訂正(即ち改正後の「請求項に対する更なる限定」)に対する証拠の補足に関する設定を削除している。その理由は、「請求項に対する更なる限定」という訂正は権利請求範囲内で行なわれる訂正であり、権利付与した権利請求の範囲を超えていない。よって、請求人には新しい証拠を補足する必要がなく、証拠の組み合わせ方式を調整するだけでよいからである。

《専利審査指南》第五部分の改正案公衆がアクセスできる審査情報について

国務院第71号公文書3における「法に基づいて速やかに専利審査過程における情報を公開する」という要求を貫徹し、グローバルドシエ(Global Dossier)審査情報共有化の趨勢に順応するため、今回の審査指南の改正内容では、第五部分第四章の関係内容にも触れている。その改正は三点に係わっている。

1、既に公表したが、まだ専利権付与の公告をしていない発明専利出願の包袋について、包袋における情報を閲覧または謄写することができる。ただし、時間的には、従来の「公表日まで」から実体審査手続きまで延長され、内容的には、実体審査手続きにおいて出願人に発送した通知書、調査報告書と決定書まで拡大されたが、出願人による審査意見通知書に対する応答及び権利要求書に対する補正は含まれていない。

2、これにより、既に専利権を付与すると公告された専利出願の包袋について、閲覧・謄写できる内容には調査報告書も入っている。

3、審査指南第五部分第四章5.2節の(1)において閲覧と謄写できる内容について既に規定されたので、従来の「前述の内容以外の書類については、閲覧または謄写してはならない」の文言が削除された。

審査指南第五部分のもう一箇所の改正は、財産保全への協力による手続きの中止(中断)に関することである。

今回の改正では、「同じ法院の同じ案件に対する執行手続きにおける保全裁定について、専利局での中止期間は12ヵ月を越えないものとし、裁判手続きにおける保全裁定については、専利局での中止期間は適宜延長されてよい」とする内容が削除された。今後、人民法院の民事裁定書、執行協力通知書を受け取った場合、SIPOは保全される専利出願権と専利権に関する手続きを中止する。従来の時間制限はなくなった。