You are here

知的財産権の保護

中国の知的財産権保護体系は所謂「双軌制」、即ち司法保護と行政保護の二重構造を採用している。被侵害者は侵害者の侵害行為について裁判所に提訴することができるし、行政機関に処理を求めることもできる。行政手続は司法手続の前置手続きではない。 

司法体系

中国の司法体系では、下記の四階級の裁判所がある。

最高裁判所

高級裁判所(一つの省、自治区、直轄市あたり一つの高級裁判所が設置)

中級裁判所(一つの市あたり一つまたは複数の中級裁判所が設置)

知的財産権裁判所(現在北京、上海、広州に夫々一つ設置。中級裁判所格である)

末端裁判所(一つの県または市の一つの区あたり一つの末端裁判所が設置)

中国では二審制を採用し、殆どの知財関連案件の一審裁判所は中級裁判所または知的財産権裁判所である。

専利行政管理部門

中国の専利管理制度における一つの顕著な特徴は、省、自治区、直轄市及び一部の都市の地方政府に専利行政管理部門(地方知識財産権局)が設けられていることである。これらの専利行政管理部門では、管轄区域内の専利管理業務と専利権侵害案件の処理が行われている。上記専利行政管理部門は国家知識産権局(SIPO)の支部ではなく、専利出願を受理しない。

工商行政管理部門

工商行政管理局は中央政府と地方政府に設立され、中国各地に配置されており、最小行政区画は「鎮」(中国の行政区画、日本の町に相当)である。工商行政管理局では企業登記管理、市場監督などの業務が行われている。各級工商行政管理局は商標権侵害取り締まりの面において重要な役割を果たしている。

国家商標局と商標評審委員会は国家工商行政管理総局の下に設置されている。

著作権行政管理部門

国家版権局は国務院所属の著作権管理部門であり、著作権侵害事件取締りを含む全国の著作権管理業務を行っている。各省、自治区、直轄市及び一部の都市の地方政府に地方著作権行政管理部門が設けられ、著作権侵害案件取締りを含む管轄区域内の著作権管理業務を行っている。

専利権の保護

権利侵害

発明専利または実用新案専利の権利付与後、如何なる者も専利権者の許諾を得ずに生産経営目的で下記の行為を実施した場合、他人の専利権に対する侵害となり、訴えられることがある。

・ 専利製品の製造、使用、販売の申出、販売、輸入をすること。

・ 専利方法を使用すること。

・ 専利方法から直接獲得した製品の使用、販売の申出、販売、輸入をすること。

意匠専利の権利付与後、如何なる者も専利権者の許諾を得ずに生産経営目的で下記の行為を実施した場合、他人の専利権に対する侵害となり、訴えられることがある。

・ 意匠専利製品の製造、販売の申出、販売、輸入をすること。

仮差し止め

専利権者又は利害関係者は証拠を以て、他人がその権利に対する侵害行為を実施しており又は実施しようとしており、かつ、直ちに当該行為を止めないと、その合法的な権益に取り戻せない損害が与えられることを証明した場合、提訴前の段階で、関係行為に対する差止め命令を裁判所に求めることが出来る。

証拠保全

証拠が滅失する虞があり又は後で取得し難い場合、専利侵害行為を制止する為に、専利権者又は利害関係者は提訴前の段階で、裁判所に証拠保全措置を申請することが出来る。

損害賠償

専利権侵害の賠償額は、侵害行為のために被侵害者の受けた実際の損失により確定し、実際の損失が確定し難い場合、権利侵害者の権利侵害により獲得した利益で確定する。専利権者の損失又は権利侵害者の権利侵害により獲得した利益が確定し難い場合、当該専利のライセンス料の合理的倍数にて確定する。専利権者の損失、権利侵害者の獲得した利益、専利のライセンス料がいずれも確定し難い場合、裁判所は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状などの要素によって1万元以上100万元以下の賠償を求める判決を下すことができる。

また、賠償額には被侵害者が侵害行為を制止する為に支払った合理的な費用が含まれる。

生産経営の目的で、専利権者の許諾を得ずに製造販売された専利製品であることを知らずにその使用、販売の申し出又は販売をしたが、当該製品の合法的出所を証明できる場合、賠償責任を負わない。

刑事責任

専利を偽称した場合、民事賠償責任以外に、行政処罰を受ける。情状が深刻で犯罪を構成する場合、刑事責任を負わなければならない。

司法保護と行政保護

専利権者又は利害関係者は、侵害者の侵害行為について、管轄権のある裁判所に提訴することができ、また関係専利管理部門に紛争の処理を求めることもできる。関係専利管理部門は侵害者に対してその侵害行為を直ちに停止するよう命じることができ、また当事者の請求により損害賠償額について調停をすることもできる。

専利を偽称した場合、専利管理部門は権利侵害者の不法収入を没収し、権利侵害による不法所得の4倍以下の罰金を科すことができる。権利侵害による不法所得が無い場合、20万元以下の罰金を科すことができる。

管轄権

専利侵害訴訟は侵害者所在地又は権利侵害行為発生地の裁判所が管轄する。権利侵害行為発生地は侵害製品の製造地、販売地、使用地、または輸入地など権利侵害行為が実際に発生した場所を含むだけではなく、権利侵害の結果が現れる所をも含む。

専利紛争に関する一審案件は、各省、自治区、直轄市政府所在地の中級裁判所及び最高裁に指定された中級裁判所にてのみ審理できる。北京、上海、広東(深セン市は除外)の行政区域内における専利紛争に関する一審案件は、北京知的財産権裁判所、上海知的財産権裁判所、広州知的財産権裁判所にて夫々審理する。

行政保護を請求する場合、被請求人所在地または権利侵害行為発生地の専利行政管理部門に請求しなければならない。

時効

専利権侵害に関する訴訟は、専利権者又は利害関係者が権利侵害行為の発生を知りまたは知り得た日から二年以内に提起しなければならない。

専利権者または利害関係者が侵害行為の発生を知り又は知り得た日から2年以後に提訴した場合、仮に提訴時に権利侵害行為がまだ実施されており且つ専利権が依然として有効であれば、裁判所はこれを受理し、侵害者に対して権利侵害行為を停止し被侵害者の損害を賠償するよう命じることができる。ただし、損害賠償額の計算は提訴日から遡って2年を超えないものとする。

挙証責任

原告側は証拠を以て、侵害行為に対する訴えの内容及びそれにより受けた損害を証明しなければならない。

訴訟が1993年1月1日以降に出願した新製品の製造方法専利に係わる場合、被告側は挙証責任を負う。したがって、新製品の製造方法専利を侵害したと訴えられた場合、侵害行為の実施を否定する被告は証拠を以て自らの製品が当該方法専利を利用して作られたものではないことを証明しなければならない。

ただし、1993年1月1日より前に出願した方法専利に関する訴訟においては、当該専利方法で製造した製品が新しいか否かにかかわらず、挙証責任は被告側にある。

専利権侵害紛争が2009年10月1日より前に出願した実用新案に係わる場合、裁判所又は専利管理部門は国家知識産権局により作成された検索報告書の提出を専利権者に求めることが出来る。

 

専利権侵害紛争が2009年10月1日以後に出願した実用新案または意匠に係わる場合、裁判所又は専利管理部門は、国家知識産権局が当該実用新案または意匠について検索、分析及び評価して作成した専利権評価報告書を専利権侵害紛争の審理または処理の証拠として提出するよう専利権者または利害関係者に求めることが出来る。

均等論

専利権の保護範囲は請求の範囲に明記された必要的技術特徴により確定された範囲に準じ、当該技術特徴と均等な特徴(「均等な特徴」と言う)を含む。均等な特徴とは、記載された技術特徴と比べて、基本的に同じような手段を以て、基本的に同じような機能を実現し、基本的に同じような効果を達成し、且つ当業者が創造的な労働をせずとも想到できる特徴を言う。

訴訟手続きの中断

実用新案または意匠に係わる専利権侵害事件において、被告が答弁期間内に専利複審委員会に無効審判を請求した場合、裁判所は訴訟手続きを中断しなければならない。ただし、下記の情況の場合、訴訟手続きを中断しなくてもよい。

・   国家知識産権局で原告の申請により作成された検索報告書または専利権評価報告書に、実用新案専利の新規性、進歩性の喪失を招く技術文献が無い場合。

・   被告が提出した証拠でその使用した技術が公知されていることを十分証明した場合。

・   被告が無効審判請求において提出した証拠、またはその理由が明らかに不充分な場合。

発明専利に係わる専利権侵害案件においては、被告が答弁期間内に専利複審委員会に無効審判を請求したとしても、裁判所は訴訟手続きを中断しなくてもよい。

仮に裁判所が訴訟手続きの中断を決定する場合、原告の請求により、原告が担保を提供することを前提に、被告に対して関係行為の停止を命じ、または損害の継続的な拡大を阻止するその他の措置を取ることができる。

上訴

一審裁判所の判決について一級上の裁判所に上訴することができる。二審判決は終審判決である。上訴期限は、中国当事者は判決書を受領してから15日以内であり、中国国内に固定住所又は事務所のない外国人または外国組織は判決書を受領してから30日以内である。

当事者は専利行政管理部門の決定に不服があれば、管轄権を持つ中級裁判所に訴訟を提起することができる。中級裁判所が下した一審判決についても上訴することが出来る。

著作権の保護

関係法律

「著作権法」は1990年9月7日に公布、1991年6月1日より施行、2001年10月27日に第一回改正、2010年2月26日に第二回改正された。また、それに対応する著作権法実施条例は2002年9月15日より施行、2011年1月8日に第一回改正、2013年1月30日に第二回改正された。

中国は1980年6月3日に世界知的所有権機関(WIPO)に、1985年3月19日に「工業所有権の保護に関するパリ条約」(ストックホルム協定)に、1992年10月30日に「万国著作権条約」に、1992年10月15日に「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」に、1993年4月30日に「許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約」に加盟した。

権利侵害

下記の侵害行為があった場合、情状により、侵害停止、影響の除去、謝罪、損害賠償などの民事責任を負わなければならない。

   

(一)         著作権者の許諾を得ずにその作品を発表すること。

(二)         他人と共同で創作した作品を共同著作者の許諾を得ずに自ら単独で創作した作品として発表すること。

(三)         創作に参加していないのに、名利を貪って他人の作品に署名すること。

(四)         他人の作品を歪曲、改竄すること。

(五)         他人の作品を剽窃すること。

(六)         著作権者の許諾を得ずに展示、映画撮影及び映画撮影に類似した方法で他人の作品を使用し、又は翻案、翻訳、注釈などの方法で他人の作品を使用すること。ただし、著作権法に別段の規定がある場合を除く。

(七)         支払うべき報酬を支払わずに他人の作品を使用すること。

(八)         映画作品及び映画撮影に類似した方法で創作した作品、ソフトウェア、録音録画製品の著作権者又は著作権関係権利者の許諾を得ずに、その作品または録音録画製品を貸し出すこと。ただし、著作権法に別段の規定がある場合を除く。

(九)         出版者の許諾を得ずにその出版された図書や刊行物の版式デザインを使用すること。

(十)         出演者の許諾を得ずにその出演内容を生放送し又は公開中継し、或いは録画すること。

(十一) 著作権や著作権関係権益に対するその他の侵害行為。

  

下記の侵害行為があった場合、情状によって侵害停止、影響の除去、謝罪、損害賠償などの民事責任を負わなければならない。同時に公共利益を損なう場合、著作権行政管理部門はその侵害行為を停止させ、不法所得を没収し、侵害製品を没収して廃棄し、併せて罰金を科することが出来る。なお、情状が深刻な場合、著作権行政管理部門は主に権利侵害コピー品の製作に用いられた材料、用具、設備などを没収することができる。犯罪を構成する場合、法に基づいて刑事責任を追究する。

(一)         著作権者の許諾を得ずに、その作品をコピー、発行、出演、映画放送、ラジオ放送、編集し、又はネットワークにて公衆に伝播すること。ただし、著作権法に別段の規定がある場合を除く。

(二)         他人が排他的出版権を享有する図書を出版すること。

(三)         出演者の許諾を得ずにその出演内容の入った録音録画製品をコピー、発行し、又はネットワークにてその出演内容を公衆に伝播すること。ただし、著作権法に別段の規定がある場合を除く。

(四)         録音録画製作者の許諾を得ずにその製作した録音録画製品をコピー、発行し、又はネットワークにて、公衆に伝播すること。ただし、著作権法に別段の規定がある場合を除く。

(五)         許諾を得ずにラジオ番組、テレビ番組を放送、コピーすること。ただし、著作権法に別段の規定がある場合を除く。

(六)         著作権者又は著作権関係権利者の許諾を得ずに、権利者がその作品や録音録画製品等で採用した技術的保護手段を故意に回避、又は破壊すること。ただし、法律、行政法規に別段の規定がある場合を除く。

(七)         著作権者又は著作権関係権利者の許諾を得ずに、作品、録音録画製品等の電子的権利管理情報を故意に除去又は改変すること。ただし、法律、行政法規に別段の規定がある場合を除く。

(八)         他人の署名を偽った作品を製作、販売すること。

仮差し止め

著作権者又は著作権関係権利者は、他人がその権利に対する侵害行為を実施しており又は実施しようとしており、かつ、直ちに当該行為を止めないと、その合法的な権益に取り戻せない損害が与えられることを証明した場合、提訴前の段階で、関係侵害行為に対する差止め命令と財産保全措置を取るよう裁判所に求めることが出来る。

証拠保全

証拠が滅失する虞があり又は後で取得し難い場合、侵害行為を制止する為に、著作権利者又は著作権関係権利者は提訴前の段階で、裁判所に証拠保全措置を申請することが出来る。

裁判所は申請を受けてから48時間以内に裁定を下さなければならず、保全措置を取る裁定をした場合、直ちに執行しなければならない。

裁判所は申請人に担保の提供を命じることが出来る。申請人が担保を提供しない場合、その申請を棄却する。

保全措置を取ってから15日以内に申請人が提訴しない場合、裁判所は保全措置を解除しなければならない。

損害賠償

著作権又は著作権関係権利を侵害した場合、侵害者は権利者の実際の損失を補填し、賠償しなければならない。実際の損失が確定し難い場合、侵害者の不法所得により確定して賠償しなければならない。賠償額にはさらに被侵害者が侵害行為を制止する為に支払った合理的な費用が含まれる。

権利者の実際の損失又は侵害者の不法所得が確定し難い場合、裁判所は侵害行為の情状によって50万元以下の賠償金の判決を下すことができる。 

刑事責任

不法収入を獲得する為、著作権者の許諾を得ずに他人の作品をコピー、発行し、情状が深刻な場合、法に基づき刑事責任を追究する。侵害者に対して7年以下の有期懲役を科し、罰金を併科することができる。

司法保護と行政保護

著作権が侵害された場合、被侵害者は直接裁判所に提訴することができる。権利侵害行為が公共利益に損害を与えた場合、関係著作権行政管理部門は権利侵害紛糾として処理することができる。

著作権侵害が成立し、同時に公共利益に損害を与えた場合、不法経営額が5万元以上であれば、著作権行政管理部門は不法経営額の1倍以上5倍以下の罰金を科することができ、不法経営額がなく又は不法経営額が5万元以下であれば、著作権行政管理部門は情状により25万元以下の罰金を科することができる。

管轄権

著作権侵害行為に対して提起する民事訴訟は、侵害行為の実施地、権利侵害コピー品の貯蔵地或いは押収地、又は侵害者所在地の裁判所に提起することができる。

著作権侵害の一審案件については、中級以上の裁判所又は指定された一部の末端裁判所が管轄権を持つ。

著作権利者または著作権関係権利者は、行政ルートを通して権利侵害紛争の解決を図る場合、権利侵害行為発生地の著作権行政管理機関に請求しなければならない。
 

時効

著作権侵害に対する訴訟請求は、著作権利者または著作権関係権利者が侵害行為の発生を知り又は知り得た日から2年以内に提起しなければならない。

 著作権利者または著作権関係権利者が侵害行為の発生を知り又は知り得た日から2年以後に提訴した場合、仮に提訴時に権利侵害行為がまだ継続していれば、当該著作権の有効期間内に、裁判所はこれを受理し、侵害者に対して権利侵害行為を停止し被侵害者の損害を賠償するよう命じることができる。ただし、損害賠償額の計算は提訴日から遡って2年を超えないものとする。

挙証責任

原告は権利侵害行為に対する訴え及び侵害行為による損害について、証拠を以て証明しなければならない。
 

コピー品の出版者、製作者は、その出版、製作で合法的な許諾を受けていることを証明できない場合、コピー品の発行者あるいは映画作品または映画製作と類似する方法で創作した作品、コンピューターソフトエア、録音録画製品のコピー品の貸出人は、その発行、貸出したコピー品について合法的な出所を証明できない場合、法的責任を負わなければならない。

上訴

一審裁判所の判決に不服がある場合、一級上の裁判所に上訴することができる。二審判決は終審判決である。上訴期限は、中国当事者は判決書を受領してから15日以内であり、中国国内に固定住所又は事務所のない外国人または外国組織は判決書を受領してから30日以内である。

当事者は著作権行政管理部門の決定に不服がある場合、管轄権を持つ中級裁判所に提訴することができる。中級裁判所の一審判決に不服がある場合は、一級上の裁判所に上訴することが出来る。

商標権の保護

権利侵害

下記行為の一つがある場合、登録商標専用権に対する侵害である。

(一)登録商標権利者の許諾を受けずに、同一商品に同一の商標を使用した場合。

(二)登録商標権利者の許諾を受けずに、同一商品にその登録商標と近似する商標を使用し、又は類似する商品にその登録商標と同一または近似する商標を使用して混同させる虞がある場合。

(三)登録商標専用権侵害の商品を販売した場合。

(四)他人の登録商標のロゴを偽造又は無断に製造し、若しくは偽造又は無断に製造された登録商標のロゴを販売した場合。

(五)登録商標権利者の許諾を受けずにその登録商標を取り替えたうえ、当該商標の取り替えられた商品を再び市場に投入した場合。

(六)第三者の商標専用権侵害行為に故意に便宜を供与して、第三者による商標専用権侵害行為の実施を手伝った場合。

(七)他人の登録商標専用権にその他の損害を与えた場合。

仮差止め

商標権利者又は利害関係者は証拠を以って、他人がその登録商標専用権に対する侵害行為を実施しており又は実施しようとしており、かつ、直ちに当該行為を止めないと、その合法的な権益に取り戻せない損害が与えられることを証明した場合、提訴前の段階で、関係侵害行為に対する差止め命令と財産保全措置を取るよう裁判所に求めることが出来る。

証拠保全

証拠が滅失する虞があり又は後で取得し難い場合、侵害行為を制止する為に、商標権利者又は利害関係者は提訴前の段階で、裁判所に証拠保全措置を申請することが出来る。

裁判所は申請を受けてから48時間以内に裁定を下さなければならず、保全措置を取ると裁定した場合、直ちに執行しなければならない。

裁判所は申請人に担保の提供を命じることが出来る。申請人が担保を提供しない場合、その申請を棄却する。

保全措置を取ってから15日以内に申請人が提訴しない場合、裁判所は保全措置を解除しなければならない。

損害賠償

商標専用権侵害に関する賠償額は、侵害者が侵害期間においてその侵害行為により獲得した利益、又は被害者が被侵害期間において侵害行為により受けた損失である。ただし、賠償額には被侵害者が侵害行為を制止する為に支払った合理的な費用が含まれる。

上記の侵害者の権利侵害による利益又は被侵害者の被侵害による損失が確定し難い場合、裁判所は侵害行為の情状によって300万元以下の賠償を命じる判決を下すことができる。

登録商標専用権侵害の商品であることを知らずにそれを販売したが、当該商品を合法的に取得したことを証明し、且つ提供者を説明することができる場合、賠償責任を負わない。

刑事責任

商標権利者の許諾を受けずに同一商品にその登録商標と同一の商標を使用し、犯罪となった場合、商標権利者への賠償のほか、法に基づいて刑事責任追究される。

他人の登録商標のロゴを偽造又は無断に製造し、若しくは偽造又は無断に製造された登録商標のロゴを販売し、犯罪となった場合、商標権利者の損賠償のほか、法に基づいて刑事責任追究される。

ニセ登録商標の商品であることを知りながらそれを販売し、犯罪となった場合、商標権利者の損賠償のほか、法に基づいて刑事責任追究される。

上記侵害者に対して7年以下の有期懲役を科すことができる。

 

司法保護と行政保護

商標侵害事件については、工商行政管理機関を通して関連措置を取ることができる。これは比較的効果が大きく、よく採用される解決ルートである。工商行政管理機関は商標侵害事件を処理する際、権利侵害が成立すると認めた場合、侵害行為の即時停止を命じ、侵害製品と主に侵害品製造またはニセ登録商標のロゴの製造に用いられた用具を没収して廃棄し、併せて罰金を科することが出来る。

不法経営額が5万元以上の場合、不法経営額の5倍以下の罰金を科することができ、不法経営額がないか5万元未満の場合は25万以下の罰金を科することができる。5年間以内に2回以上の商標権利侵害行為を実施し、又はその他深刻な情状がある場合、厳しく処罰しなければならない。

当事者の求めにより、工商行政管理機関は損害賠償額について調停を行うことができる。偽物製品に係わる場合は、品質技術監督機関でも事件を受理することができる。司法ルートに比べて、行政ルートは解決が速く、費用が安い。但し、損害賠償を求める場合は、司法ルートの方が良い。

管轄権

登録商標権利者または利害関係者は、侵害行為の実施地、権利侵害品の貯蔵地或いは押収地、又は侵害者所在地における裁判所に提訴することができる。

商標権侵害の一審案件については、中級以上の裁判所又は指定された一部の末端裁判所が管轄権を持つ。

商標権利者または利害関係者は行政ルートを通して権利侵害紛争の解決を図る場合、権利侵害行為発生地の工商行政管理機関に請求しなければならない。

時効

商標権侵害に対する訴訟請求は、商標権利者または利害関係者が侵害行為の発生を知り又は知り得た日から2年以内に提出しなければならない。

商標権利者または利害関係者が侵害行為の発生を知り又は知り得た日から2年以後に提訴した場合、仮に提訴時に権利侵害行為がまだ実施されており且つ商標権が依然として有効であれば、裁判所はこれを受理し、侵害者に対して権利侵害行為を停止し被侵害者に損を賠償するよう命じることができる。ただし、損害賠償額の計算は提訴日から遡って2年を超えないものとする。

上訴

当事者は工商行政管理機関の処理決定に不服がある場合、通知された日から15日以内に管轄権のある裁判所に行政訴訟を提起することができる。

司法手続きにおいて、一審裁判所の判決に不服があれば、二審裁判所に上訴することができる。二審裁判所の判決は終審判決である。

知的財産権税関保護手続

関係法律

税関による知的財産権保護の法的根拠は1987年に発効した『税関法』、及び1995年に公布、施行され、その後2003年に改正、2004年3月1日に施行された『知的財産権税関保護条例』である。

保護範囲

知的財産権税関保護措置は、輸出入貨物における、中国の法律及び関係行政法規による保護を受ける商標権、著作権及び著作権の関連権利、専利権に適用される。

税関知的財産権届出登録

知的財産権の権利者はその所有する知的財産権を税関総署に届出登録することができる。税関届出登録の申請書類は下記の内容を含まなければならない。

・   知的財産権の権利者の営業許可書または身分証明書のコピー

・   知的財産権の権利証書のコピー

・   知的財産権の権利者が授権した被許諾者名簿

・   知的財産権の権利者が署名した委任状

税関総署は申請書類を全部受領した後 30 稼動日以内に登録を認めるか否かを決定し、書面にて申請人に通知しなければならない。

知的財産権税関届出登録の有効期間は、税関で登録が認められた日から起算して10年である。 知的財産権の権利者は届出登録の期限前の6ヶ月以内に更新を申請することができる。更新の有効期間も10年である。 

税関届出登録は、有効期限が過ぎても更新を申請せず、若しくは知的財産権が法律法規の保護を受けなくなった場合、失効するものとする。

保護措施

知的財産権の権利者は侵害被疑に係る貨物が輸出入されるのを発見した場合、当該知財権が税関届出登録されているか否かに係わらず、貨物の輸出入地の税関に差押え申請を提出することができる。差押え申請を提出した場合、知的財産権の権利者は税関に関係証拠を提出し、且つ貨物の価格を上回らない担保を提供しなければならない。

税関は、輸出入貨物に登録された知的財産権を侵害する疑いがあると認めた場合、直ちに書面にて知的財産権の権利者に通知しなければならない。知的財産権の権利者が通知を受領した後3稼働日以内に差押え申請を税関に提出し、且つ相応の担保を提供した場合、税関は当該貨物を差し押さえなければならない。そうでなければ、税関は貨物を通過させなければならない。

荷受人または荷送人はその貨物が知的財産権を侵害していないと認めた場合、書面による説明を税関に提出し、且つ関連証拠を添付しなければならない。税関はその説明と証拠が十分と認めた場合、貨物を通過させなければならない。

専利権侵害の疑いのある貨物の荷受人または荷送人は、貨物と等価の担保を税関に提出して、通関申請を税関に提出することができる。

知的財産権の権利者が侵害被疑に係る貨物を発見して税関に差押え申請を提出した場合、税関は差押え日から20稼動日以内に裁判所の執行協力通知書を受領しないとき、差し押さえた貨物を通過させなければならない。

知的財産権の権利者が税関から貨物の侵害被疑に係る通知を受領し、税関に関係貨物の差押え措置を申請した場合、税関は調査した上で、差押え日から30稼働日以内に結論を出さなければならない。仮に侵害被疑貨物が知的財産権侵害と判定できず、且つ差押え日から50稼働日以内に裁判所の執行協力通知書を受領しないとき、差し押さえた貨物を通過させなければならない。

権利侵害货物処分

税関は、調査した上で、差し押さえた侵害被疑貨物が知的財産権を侵害していると判定した場合、関係貨物を没収し、且つ知的財産権侵害貨物の関係情報を書面にて知的財産権の権利者に通知しなければならない。

なお、税関は没収した権利侵害貨物を下記の方法で処分することができる。

1、没収した貨物がチャリティ事業に利用できる場合、関係チャリティ機構に渡さなければならない。

2、知的財産権の権利者が購入する意思がある場合、知的財産権の権利者に有償で譲渡することが出来る。  

3、チャリティ事業に利用できず、且つ知的財産権の権利者が購入する意思が無い場合、権利侵害の特徴を除去して公売に付することができる。

4、権利侵害の特徴が除去できない場合、権利侵害貨物を廃棄しなければならない。